LCK勢が3年ぶりの世界一に!LoL世界大会「Worlds 2020」大会レポート

10月31日(日)、人気MOBAゲーム「League of Legends」世界大会「Worlds 2020」決勝戦が開催され、LCK(韓国)代表・DAMWON Gaming(DWG)が、LPL(中国)代表・Suning(SN)を破り、優勝を果たしました。18年、19年と優勝を続けるLPL代表、3年ぶりの王座奪還を目指すLCK代表、両者の直接対決を制したDWGが、チーム初・LCK勢として3年ぶりの世界一に輝きました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、例年とは異なる形の開催となった今大会。本記事では、総勢22チームによる「Worlds 2020」1か月間の戦いを振り返ります。

「Worlds 2020」プレイインステージ(9月25日~30日)

9月25日より「Worlds 2020」本戦出場枠を賭けた戦い、プレイインステージが開幕。ワイルドカード6地域の優勝チーム・メジャー地域の最終シードチームからなる、全10チームが本戦出場4枠を争いました。

5日間にわたる戦いを制した、LPL代表「LGD Gaming」・LCS代表「Team Liquid」・LCL代表「Unicorns Of Love」・PCS代表「PSG Talon」の4チームが本戦出場枠を獲得。中でも、LCL代表・UOLは、ワイルドカード地域として2017年大会以来、3年ぶりとなる本戦出場を果たしました。

なお、LJL・日本代表として参戦した「V3 Esports」は惜しくもプレイイングループステージで敗退。LJL悲願のWorlds本戦出場はなりませんでした。V3の「Worlds2020」詳細レポートは「こちら

「Worlds 2020」プレイインステージ(9月25日~30日)

※プレイイングループステージ 最終順位

☆プレイインステージ 注目試合!


※トルコ・TCL代表「SuperMassive」が、格上地域・LEC代表「MAD Lions」を番狂わせの起きにくいBO5形式で撃破!MADは、Worlds初のメジャー地域プレイイン敗退チームとなった。

「Worlds 2020」グループステージ(10月3日~11日)

3日より開幕した「Worlds 2020」グループステージは全16チームを4つのグループに分けて実施されました。各グループ総当たり×2試合の形式で行われ、各組上位2チームが決勝トーナメント進出となります。

【グループA】

参加チーム

LEC1位・G2 Esports(G2)
LPL3位・Suning(SN)
LCS3位・Team Liquid(TL)
PCS1位・Machi Esports(MCX)

前評判では、昨年のWorldsで準優勝を飾ったG2、LPLでの激戦を制したSN、の両チームの予選抜けが予想されたグループA。LCS代表・TLは第1週にG2、第2週にSNを撃破するなど健闘したものの、MCX相手に星を落としたことが大きく響き、グループステージ敗退となった。

注目が集まったG2・SNの1位争いは4勝2敗同士で決着が付かず。タイブレークまでもつれ込んだ接戦の末、勝利したSNがグループA 1位突破を決めた。


【グループB】

参加チーム

LCK1位・DAMWON Gaming(DWG)
LPL2位・JD Gaming(JDG)
LEC3位・Rogue(RGE)
PCS2位・PSG Talon(PSG)

LCKを圧倒的な強さで優勝したDWGがここでもその強さを見せつけ、5勝1敗で1位通過、JDGが他2チーム相手に堅実に勝利を積み重ね、2位通過を決めた。PSGは敗退決定後にJDGを破るなど2連勝、なんとも悔しい結果に。

LEC Summerではレギュラーシーズン1位となるなど、強さを見せたRogueだったが、DWG・JDG相手には為す術なく1勝5敗、最下位での敗退となってしまった。

【グループC】

参加チーム

LCS1位・Team SoloMid(TSM)
LCK3位・Gen.G(GEN)
LEC2位・Fnatic(FNC)
LPL4位・LGD Gaming(LGD)

3大会ぶりと参戦となったTSMにとって苦しいWorldsに。LCS特有のスローテンポなゲーム運びが仇となったか、初週から6連敗で敗退を決めた。地域王者が6連敗で敗退するのは初の事態で、大会後には中心選手のBjergsenが引退を発表するなどチーム再建に乗り出すこととなった。Spicaによる「5man Sleep」など印象に残るプレイはあっただけに、来季以降の再起に期待したい。

1位争いは、FNCとGENが争う展開となったものの、グループ最終戦の直接対決でGENが勝利。ここまでLCK勢2チームがグループ1位を獲得し、LCKの復権を印象付けた。


【グループD】

参加チーム

LPL1位・TOP Esports(Top)
LCK2位・DRX
LCS3位・Fly Quest(FLY)
LCL1位・Unicorns Of Love(UOL)

グループDは、TOPがLPL1位の実力を発揮する展開となった。接戦が予想されていたDRX相手にも2連勝を飾り、危なげなく1位通過を決めた。プレイインでは総合力の高さを見せていたUOLだったが、メジャー地域上位チームには歯が立たず6連敗・・・、WC地域とメジャーの差を痛感する大会となってしまった。

【グループステージ 最終結果】

LPL3チーム、LCK3チーム、LEC2チームと強豪地域のチームがグループ突破を決める展開となりました。一方、参加全3チームがグループステージ敗退となってしまったのは、北米リーグLCS。四大リーグの一角として来季以降の奮起に期待しましょう。

【グループステージ 最終結果】

※グループステージ 最終順位

戦いは遂に正念場に!「Worlds 2020」ノックアウトステージ

3週間にわたる戦いを制した8チームが参加する「Worlds 2020」ノックアウトステージ。世界一の座を賭け、全試合オフライン・BO5形式にて争われます。

試合に先立ち、組み合わせ抽選会が実施され、以下の組み合わせに決定。上ブロックにLPL勢、下ブロックにLCK勢が固まる結果となり、地域対抗の決勝戦となることが確定しました。

ノックアウトステージ 進出チーム

ノックアウトステージ 進出チーム

LCK1位・DAMWON Gaming(DWG)
同2位・DRX
同3位・Gen.G(GEN)

LPL1位・TOP Esports(TOP)
同2位・JD Gaming(JDG)
同3位・Suning(SN)

LEC1位・G2 Esports(G2)
同2位・Fnatic(FNC)

☆準々決勝 注目カード「TOP vs FNC」


LPL1位・TOPとLEC2位・FNCの一戦。FNCが、BO5(3本先取)で2勝1敗、準決勝に王手を賭けて臨んだ4戦目。緊迫したゲーム展開の中、TOPのMID Knight選手・JGのKarsa選手が集団戦で好パフォーマンスを続け、最大3k差の不利から逆転勝利を果たしました。

2連敗から2連勝と勢いに乗ったTOPは続く5戦目でも、FNCに快勝し準決勝進出を決めました。TOPの果たしたリバーススイープ(※2連敗から3連勝での逆転)は、Worlds史上初の快挙。

その他、準々決勝では、SNがJDGを3-1、DWG・G2が共に相手を3-0の大差で下し、準決勝進出を決めました。

☆準決勝 注目カード「DWG vs G2」


昨年の「Worlds 2019」準々決勝の再戦となった両者の対決。DWGが昨年のリベンジを果たすのか、G2が2年連続の決勝進出を果たすのか、大きな注目が集まりました。

1勝1敗で迎えた第3試合、ここまで2戦で使用したツイステッド・フェイト、サイラスの両チャンピオンを互いにBANし、Caps選手はアカリをピック。対するDWGはTopにルル、Midにシンドラをピックし、Caps選手の影響力を下げる戦術を取ります。試合序盤にシンドラがキルを獲得すると、狙い通りMidレーンのコントロールを握ったDWG。その有利を手放さず、次々にオブジェクトを獲得、重要な3戦目に勝利しました。続く第4試合では、アグレッシブな仕掛けを続けたG2でしたが、DWGの反撃の前に為す術無し。「試合時間19分」とWorlds史上最短試合でDWGが勝利し、決勝進出を決めました。LCK勢の決勝進出は、2017年のSKT・SSG以来3年ぶりとなります。

翌日行われた「SN vs TOP」のLPLチーム同士の対決では、SNが勝利。この結果を受け、決勝戦はLPLとLCKのライバル地域同士の対戦となりました。

栄冠はどちらへ?「Worlds 2020」決勝戦 DAMWON Gaming vs Suning

LPL地域として大会3連覇を狙う「Suning」、遠ざかっていた世界一の座へ、復権を期するLCK「DAMWON Gaming」。一体どちらの地域、チームがサモナーズカップを手にするのか、世界中から多くの注目が集まる一戦となりました。

☆DAMWON Gaming

☆DAMWON Gaming

ここまで圧倒的な強さを見せ続けてきたDAMWON Gaming。TopのNuguri選手、MidのShowmaker選手と強力なソロレーナーに加え、高い安定感を誇るGhost・BeryL両選手のBotレーン、全選手の高い総合力で決勝進出を決めました。持ち味であるスピーディーかつ的確なゲーム展開で、チーム初の世界一を狙います。

☆Suning

☆Suning

LPL第3シードから、JDG・TOPとLPL勢を次々に破り、決勝進出を決めたSuning。TopのBin選手、JGのSofM選手を中心に、LPLらしい攻撃的なゲーム運びはもちろんのこと、高い連携力を武器に戦います。

LCKが再び世界一に輝く!DAMWON Gaming、初のWorlds優勝

決勝戦は、試合開始から両者のハイレベルな戦いが続く展開となりました。第1試合、SNがSofM選手が準決勝同様にシェンJGをピック、ゲーム全体への影響力を高めるピックを敢行。試合時間10分には、Topへのガンクに成功すると、その後もSNはシェンを絡めてキル獲得を狙います。

一方のDWGサイドは、Botレーンのプッシュアドバンテージを生かして次々にドラゴンを獲得。キル+ゴールドのSN、ドラゴンのDWGと互いに一歩も譲らず、ゲームは後半戦に突入しました。試合時間22分、ドラゴンソウルを前に発生した集団戦でDWGが勝利し、ドラゴンソウルと2キルを獲得、その後は有利を手放さなかったDWGが重要な初戦に勝利しました。

続く第2戦は、接戦の末、SNが勝利。これで1勝1敗と勝利を分け合い、第3戦に突入しました。

※第2試合は、Bin選手のフィオラが爆発!次々にDWG選手をキルし続け、ペンタキルを達成した。

決勝戦の勝負を分けたのは、互いの死力を尽くした第3戦。試合序盤からDWGがリードを広げ、21分にはドラゴンソウルを獲得、大きな有利を握ったものの、SNの果敢な仕掛けに惑わされる展開となります。ドラゴンソウル獲得直後には、SNがバロンに攻撃を開始、それに焦ったDWGの面々から次々にキルを獲得し、4キルとバロンを獲得すると試合は全くの五分状態に。互いに譲らず迎えた33分、JG内でSwordArt選手を発見したDWGがキャッチに成功、SN側のわずかな隙を突き、バロンを獲得、大きな有利を作ります。SNはその後も粘ったものの、不利を覆すまでには至らず、DWGが2勝目をあげました。


続く4戦目、DWGは勢いそのままに果敢な仕掛けを続け、SN側を圧倒。3戦目の影響からか、やや集中力を欠いたSN側の隙を見逃さず、20分で5000ゴールドもの有利を握り、マップを掌握したDWGがネクサスを破壊。ゲームスコア3-1でチーム初の「Worlds」優勝を果たしました!


3年ぶりとなるLCK勢の優勝で幕を閉じた「Worlds 2020」
2017年のSSG以来、3年ぶりとなるLCK勢の優勝で幕を閉じた「Worlds 2020」。戦いについて、Nuguri選手は「僕たちがここまで来れるとは本当にファンの方々も想像できなかったと思います。優勝してファンの方々に良いニュースを伝えられて本当に光栄です。」と語りました。

王者となったLCKが、今後も覇権を握り続けるのか、雪辱に燃えるLPL・LECチームがリベンジを果たすのか、来シーズンの戦いからも目が離せません。