LoL 世界大会「2020 World Championship」 日本代表「V3 Esports」の軌跡 大会レポート

9月25日、人気MOBAゲーム「League of Legends(LoL)」世界大会「2020 World Championship(以下、Worlds 2020)」が開幕しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今大会は全試合を中国・上海で開催、ほぼ全ての試合を無観客で実施するなど、異例の大会となりました。

また、入出国規制の厳しいベトナム・VCSの2チームは大会への参加を断念。LJL(日本)代表「V3 Esports(V3)」が参加するプレイインステージの対戦形式にも変更が行われました。

「Worlds 2020」プレイインステージ 対戦フォーマット
・全10チームが各5チームの2組に分かれ、総当たりのリーグ戦を実施。
・各組上位1チームはその時点で本戦出場が確定。最下位チームは敗退。
・両組2-4位の6チームはプレイインノックアウトステージに進出し、トーナメント形式で残りの2枠を争う。

LJL代表・V3は抽選の結果、グループBに決定。中国・LPL4位「LGD Gaming」、PCS2位「PSG Talon」、CIS・LCL1位「Unicorns of Love」、LLA1位「Rainbow7」と本選出場枠を争います。

本記事では、プレイインステージを戦い抜いた、LJL代表「V3 Esports」の試合結果を解説と共にお伝えします。

Day1 初戦は白星スタート!ロシアの強豪には接戦の末、敗れる

第1戦 vs「Rainbow7」

V3のWorlds初戦の相手は、ラテンアメリカ代表「Rainbow7」。世界ランク(ESPN)では、V3を4つ上回る18位にランクインしています。

第1戦 vs「Rainbow7」1

B/Pでは、Bugi選手の代名詞ともいえるエリスをJGでピック。Ace選手のゾーイ・Archer選手のアッシュなど、LJLでも見せた得意の構成を選択します。一方のR7側は、Botレーンにトゥイッチ・ラカン、MidにはトリスターナとWマークスマン構成をピックします。

第1戦 vs「Rainbow7」2

序盤から、V3はBugi選手が得意のエリスで敵陣JGに侵入、Topへのダイブを成功するなど有利を広げます。その後もオブジェクト周辺の戦いで有利を握り続け、試合時間26分には、R7のエンゲージに対して的確に対処。Archer選手のアローから完璧な反転を決め、バロン獲得につなげます。

一気にゴールド差・装備差を付けたV3は、そのままインファーナルソウルを獲得。これでゴールド差を10k差に広げ、ネクサスを破壊、Worlds2020、初戦で見事勝利をあげました。日本勢がWorldsで初戦勝利を挙げるのは、’18年DFM以来、2年ぶり。


第2戦 vs「Unicorns of Love」

第2戦は、CIS(ロシア等)代表「Unicorns of Love」。14戦無敗と圧倒的な成績でWCS進出を決めたLCL屈指の強豪、WC地域最強との呼び声も高いチームです。

メンバーは、’19年MSIで日本代表DFMが戦った「VEGA」のメンバーがそのままUoLに移籍しており、LJLにとっては因縁の相手となっています。

第2戦 vs「Unicorns of Love」2

V3は、Topレーンにサイオン・ADCにケイトリンと、LJL決勝でも見せたスワップ戦術をちらつかせるB/Pを行います。一方でUoLは先出しのオリアナを最終ピックでBotレーンに移動させると、Midにカサディンをピック。オリアナを見てガリオをピックしたV3側の意表を突く見事なB/Pを組み立てました。

第2戦 vs「Unicorns of Love」2

B/Pの狙い通り、スワップを見据えてTop側JGへとインベードを仕掛けたV3。UoLはそのプレイを読み切り、見事なカウンターに成功します。その後のスワップにも冷静な対処を続けたUoLは、V3の狙いであるケイトリンのファームを阻止、2連続でキルを奪うなど有利を広げます。

試合時間16分、リフトヘラルドを巡る攻防から集団戦がスタート。Ace選手のガリオやBugi選手のカーサスがダメージを出し切り、見事集団戦に勝利、逃げ出すUoLメンバーをチェイスしたものの、ここでUoL・Nomanz選手のカサディンが高い個人技を見せ、次々にキルを獲得。V3は集団戦に勝利したものの、結果的に大きなビハインドを背負ってしまいます。

レイトゲームに強いカサディンが育ち切り、V3はその後集団戦の形すら作ることが出来ず・・・。28分、ネクサスを破壊され、今大会1敗目を喫しました。

なお、Nomanz選手が見せたカサディンのプレイは後日、プレイインステージを通しての好プレイに贈られる賞「The Penta」で1位に選出されています。


Day2 メジャーリージョンの壁は厚く… 勝負はタイブレークにもつれ込む

第3戦 vs「LGD Gaming」

V3・2日目初戦の相手はLPL代表「LGD Gaming」。昨年Worlds優勝地域・LPLの4位、世界ランク(ESPN)は10位とかなりの強敵です。LGDは初日まさかの2連敗を喫しており、この試合に敗れるとプレイイン敗退が決まる重要な試合となりました。

第3戦 vs「LGD Gaming」

LGDは、Bugi選手の得意ピック「リリア」「ニダリー」をBAN、キンドレッドを抑え、JGのピックを制限します。V3はアッシュ・ゾーイと得意チャンピオンを抑えたものの、ややエンゲージに欠ける構成となりました。


序盤から戦闘の起こらない穏やかなゲーム展開が続いたものの、試合開始11分、LGD Peanut選手がTopレーンへのダイブを狙います。Langx選手がダイブセットアップ狙いのダメージトレードからソロキルに成功、TopサイドでLGD側が大きな有利を握りました。

中盤にかけて視界有利を広げたLGDは、Bugi選手のキャッチを決めるなど、徐々にゴールド差を獲得。V3は集団戦で善戦するも、あと一歩届かず、今大会2敗目を喫しました。

V3は次戦「PSG Talon」戦にも惜しくも敗れ、3連敗。同じくグループ3敗のLGDとノックアウトステージ進出を賭けたタイブレークに臨むこととなりました。

タイブレーク vs「LGD Gaming」

ここまで1勝3敗で並んだV3・LGDの両チームによる、グループ4位を巡るタイブレークが行われました。勝てばプレイインノックアウトステージ進出、負ければプレイイン敗退と、両チームにとって非常に重要な一戦となります。

タイブレーク vs「LGD Gaming」1

V3は、1戦目に活躍したLangx選手のオーンをBAN、一方のLGDはPaz選手が多用していたレネクトンをBAN、と両チームともに1戦目を踏まえた戦術を取りました。ノーチラス・エリス・セトといったオールインに長けた構成を選択したV3がどこまでのプレイを見せられるのか注目が集まります。

タイブレーク vs「LGD Gaming」2

試合時間9分、リフトヘラルドを巡る攻防から、セトを使用するAce選手が果敢にエンゲージを行います。Paz選手のカミールも敵キャリー陣に飛び込みましたが、LGD側が冷静に対処、ファーストブラッド・リフトヘラルドを獲得し、序盤から有利を握ります。その後も、LGDがV3の隙を突き次々にキルを獲得、15分で5000ゴールド差とV3は苦しい展開に・・・。

17分、Raina選手がフラッシュインからエンゲージを決め、何とか2キルを獲得したものの、抵抗はここまで。バロン・ドラゴンソウルを獲得したLGDがネクサスになだれ込み、勝利しました。

これでLJL代表・V3 Esportsは、惜しくもプレイイングループステージ敗退に。LPLというメジャーリージョンとの差は大きかったか、R7がLGD・UoLを撃破する不運などもあり、悲願のグループステージ進出はなりませんでした。

悲願のグループステージ進出ならず… 課題の残る大会に

【グループB 最終結果】

【グループB 最終結果】

日本代表・V3は、グループB 1勝4敗の5位に終わり、「Worlds 2020」プレイインステージ敗退。初となる世界戦の舞台で、初戦勝利を飾るなど健闘したものの、LJL悲願のグループステージ(本選)出場には届きませんでした。

中心選手であるBugi選手へのマークは厳しく、ほぼ全てのBAN枠をJGに割かれる展開が続いたこと、「オーン」「オリアナ」などプレイインを通して高い勝率を誇ったチャンピオンを終始相手に使用され続けたこと、Midレーンでの主導権を奪えずV3の生命線であるMid-JGラインの連携が機能しなかったことなど、戦術面・技術面どちらにおいても、世界の高い壁を痛感する大会となりました。

今季はLJLファンにとっても、国内リーグで圧倒的な強さを見せたV3が「Worlds 2020」参加チーム中、最下位に沈む、悔しいシーズンに・・・。来季以降のLJL各チームの奮起に期待しましょう。

なお、「Worlds 2020」は引き続き開催され、10月31日の決勝まで1か月わたって熱い戦いが続きます。世界の頂点に立つのは一体どこのチームなのか、今後の戦いにも注目です!

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