「LJL2020 Summer Split」レギュラーシーズン総評 ~王者DFMが4位に沈む波乱のシーズンに~

2020年8月5日(水)、人気MOBAゲーム・LoL日本公式リーグ「LJL 2020 Summer Split」順位決定タイブレークが行われ、この試合でレギュラーシーズンの全試合が終了。プレイオフに進出する全6チームが決定しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全試合無観客・一部試合がオンライン形式で行われるなど異例のシーズンとなったものの、Twitchなどで行われた試合配信には、多くのファンが集まり観戦を楽しみました。

LJLとは

「League of Legends Japan League(LJL)」は、人気MOBAゲーム「League of Legends」の日本公式プロリーグ。
LJL 2020 Spring Splitは、全8チームによるレギュラーシーズンを2020年6月13日(土)~8月1日(土)に開催。対戦形式は「Bo1」(Best of 1・1試合を先取したチームの勝利)、「ダブルラウンドロビン」(全チームによる総当たりを2回実施)です。

その後、実施されるレギュラーシーズン上位6チームによるプレイオフに優勝したチームは、LoL世界大会(Worlds 2020)に日本代表として出場することができます。

LJLとは

※多くの試合がオンラインにて開催

「LJL2020 Summer Split」レギュラーシーズン最終順位表・プレイオフ参加チーム紹介

「LJL2020 Summer Split」レギュラーシーズン最終順位表・プレイオフ参加チーム紹介

1位「V3 Esports(V3)」

1位「V3 Esports(V3)」

2018年のLJL参入以来、初のレギュラーシーズン優勝、過去最高のシーズン12勝をマーク。JGのBugi選手の高い個人技、Paz・Ace両選手の安定感のあるレーニングを武器に勝利を積み重ねました。一方で、2位のSG・3位のCGAとの直接対決では、どちらも1勝1敗と全くの五分。プレイオフは「BO5」形式(3本先取)で行われるため、シリーズを通して勝ちパターンであるBugi選手のスノーボールを続けられるかどうかがカギとなります。

2位「Sengoku Gaming(SG)」

2位「Sengoku Gaming(SG)」

昨季準優勝の安定感は今季も健在で、危なげなくプレイオフ進出を決めました。JGのBlank選手の高いゲームメイク能力は勿論のこと、TopのapaMEN選手が「GD@15(15分までの相手とのゴールド差)」でLJLトップとなる887をマークするなど、各レーンの地力の高さを見せつけました。プレイオフ進出チームでは唯一となる、日本人Duo BotのYutorimoyasi・Enty両選手が、如何に他チームの強力なBotレーナーに食い下がることが出来るのか、apaMEN選手がシーズン同様のパフォーマンスを見せることが出来るのか、2位という絶好の位置からLJL初優勝を狙います。

3位「Crest Gaming Act(CGA)」

3位「Crest Gaming Act(CGA)」

チーム最大のストロングポイントは「集団戦」。レーニングを互角以上で終えることが出来ればCGAの勝利は間違いありません。MidのAria選手・ADCのGango選手の両キャリー陣に加え、今シーズンはTopのNap選手のエンゲージ能力の高さも光りました。新人のYunika選手がどこまで他チームJGに引けを足らない戦いを出来るのかがカギとなります。これで4季連続のプレイオフとなるCGA、悲願の優勝を成し遂げられるのか、注目が集まります。

4位「DetnatioN FocusMe(DFM)」

4位「DetnatioN FocusMe(DFM)」

LJL4連覇中・レギュラーシーズン7連覇中の王者DFMがまさかの4位フィニッシュ。DFMが3位以下に沈んだのは2014年以来、約6年ぶりの出来事で、まさしく波乱のシーズンとなりました。Mid-JGの主導権を相手チームに奪われるなど苦しい戦いが続き、一時は6位まで低迷。DFM全盛を支えたかずーたコーチがヘッドコーチに復帰し、以降3連勝で順位を4位まで戻して終えたものの、決してDFMにとって満足できる順位ではありません。4位からの大逆転優勝で王者の意地を見せるのか、今後の戦いに注目が集まります。

5位「Fukuoka SoftBank Hawks Gaming(SHG)」

5位「Fukuoka SoftBank Hawks Gaming(SHG)」

最下位からの巻き返しを狙うべく、昨季Topを務めたDasher選手をMidに再コンバート、Topには元USG Arumik選手を起用してシーズンに臨みました。勝ちパターンとなるのは、Dasher選手・Honey選手の両助っ人の個人技を生かした集団戦で、特にADCのHoney選手は「DMG%(チーム内ダメージ割合)」で35%超と、LJL全選手中1位をマーク。この数値は「Team Honey」と言っても過言ではなく、SupのPooh選手・JGのTussle選手が如何にHoney選手を試合後半まで支えられるかどうかがカギとなります。

6位「Burning Core(BC)」

6位「Burning Core(BC)」

2017年夏季シーズンのLJL参入以来、初のプレイオフ進出を果たしたBurning Core。RayFarky選手・Yuhi選手に加え、Midには新人のEugeo選手を起用するなど、LJLでも随一の「若いチーム」となっています。Once選手の積極的なジャングリングを生かして、序盤からどれだけ有利を握って行けるのか。飛躍のシーズンを目指して、初となるプレイオフに臨みます。

7位「AXIZ」(レギュラーシーズン敗退)

7位「AXIZ」(レギュラーシーズン敗退)

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ADCのHide選手が合流できず、元Top uinyan選手がADC転向・Topに新人Natsume選手と大幅なメンバーチェンジを行ったAXIZ。助っ人不在・不慣れなロール転向の影響は大きく、開幕8連敗で最下位に低迷。立て直しのため、ADCに引退済みだったDay1選手が復帰、uinyan選手をTopに復帰させ、以降3勝3敗と健闘したものの、惜しくもレギュラーシーズン敗退となりました。

8位「Rascal Jester」(レギュラーシーズン敗退)

8位「Rascal Jester」(レギュラーシーズン敗退)

RJも、AXIZ同様に韓国人助っ人 MidのNinja選手・SupのviviD選手を欠いてのシーズンとなりました。代役としてPink・Nagiの両新人選手がデビューしたものの、LJLへの適応は難しかったか、シーズン通して相手に有利を取られ続ける苦しい戦いに。ADCのArt選手が「RJのネクサス」と言っても過言ではないほど傑出したパフォーマンスを見せていただけに、助っ人2選手の不在が悔しいシーズンとなりました。

レギュラーシーズン総評

V3 Esportsの初となる1位通過で幕を閉じた「LJL2020 Summer Split」レギュラーシーズン。全試合が無観客・一部試合がオンラインで開催されるなど新型コロナウイルスの影響を感じさせた他、例年では起きない番狂わせが多発する「波乱のシーズン」となりました。

中でも、最大の波乱はLJL4連覇中の絶対王者 DFMの不調。2014年のLJL発足以来、1stシーズンを除く全てのシーズンで2位以上をキープしてきたLJL屈指の強豪だけに、その低迷はコミュニティに大きな衝撃を与えました。今後のプレイオフで王者の意地を見せ逆転優勝を飾るのか、あるいは、プレイオフで敗れ、2年間続いた同一メンバーでの戦いに終止符が打たれるのか、高い注目が集まります。

上位3チームに目を向ければ、V3 Esportsが大差での1位通過を決めたものの、2位SG・3位CGAとの直接対決ではどちらも1勝1敗と全くの五分。SG-CGA間でも1勝1敗と上位3チームは全くの拮抗状態となっています。各チーム強みが全く異なるだけに、BO5形式で行われるプレイオフでどのチームが優位に立つのか、想像もつきません。
一方、レギュラーシーズン敗退となってしまったのは、新型コロナウイルスの影響から助っ人選手を欠く厳しい展開となったAXIZ・RJの両チーム。来季以降のフルメンバーでの戦いに期待しましょう。

これまでのDFM1強状態から、群雄割拠の様相へと変化を遂げた「LJL2020 Summer Split」。拮抗したチーム同士のエキサイティングなプレイオフを見られることが楽しみでなりません。

「LJL2020」プレイオフ形式

「LJL2020」プレイオフ形式

レギュラーシーズン上位6チームによるプレイオフは、8月16日(日)~9月6日(日)まで全6試合が開催されます。試合形式は全て「BO5」(3本先取の5試合制)。各チームの優勝条件は以下の通りです。

優勝条件

レギュラーシーズン2位以上(V3・SG):
Round2からの登場、サイド選択権はV3が保有する。Round2の敗者はRound3で勝ち上がりチームと再戦。1回まで敗北が許されるほか、最短2連勝でLJL優勝とかなり有利な立場。

レギュラーシーズン3位以下(CGA・DFM・SHG・BC):プレイオフ4連勝が必須条件。サイド選択権は全試合レギュラーシーズン上位チームにあるため、SHG・BCにとっては一層厳しい戦いとなる。

以上のプレイオフに勝ち上がり、LJL優勝を果たしたチームには、中国・上海で開催される「Worlds 2020」プレイインステージへの出場権が与えられます。過去日本勢の最高成績は、「Worlds 2018」DFMによるプレイイングループステージを突破となっています。

一体どのチームが「LJL 2020 Summer Split」優勝を果たすのか、そして世界の場でどんな戦いを見せてくれるのか、今後の戦いに注目が集まります。

公式サイトLoL Esports

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