~正確な時間を刻む日本の技術~
シチズンの電波時計
1918年、尚工舎時計研究所(現・シチズン時計)を設立。以後100年以上にわたり、新しい技術に挑戦し続けてきたシチズンが世界初、量産に成功した今では当たり前になった『多局受信型電波時計』についてお話ししたいと思います。
世界初の多局受信型電波時計、誕生。
1989年、シチズンは電波受信を利用した「正確な時刻を表示する時計」の開発をスタート。この開発は技術的な課題はもちろん、当時は開発用の装置もなく、窓際にアンテナを設置、電波の受信状況を確認や受信性能を評価するための測定器を社内で作製する事から始まりました。
そして、日本には当時なかった標準電波受信用のICを独自開発、受信アンテナの小型化目指して開発を進めました。
さまざまな課題を乗り越えたシチズンは、1993年に世界初の「多局受信型電波時計」に成功したのです。
受信感度を左右するアンテナが、メタルケースや金属部品の影響を受けやすいことから、逆の発想で「電波を受信して動く」という機能を前面に出し、文字板の中央にアンテナを配した大胆なデザインが採用されました。
1993年
世界初のシチズン「多局受信型電波時計」
魅せて見せない腕時計へ
電波時計は「電波時計に見えないデザイン」へと進化。
アンテナをボディサイドの樹脂ケースに内蔵したモデルを経て、2001年にセラミック外装のアンテナ内蔵化や、省電化によるエコ・ドライブ搭載のモデルを開発。
さらにはアンテナ、受信回路の改善による受信感度の大幅な向上により、2003年に当時不可能とも思われていた世界初のフルメタルケースの電波時計の開発に成功しました。
2003年
「フルメタル電波時計」
電波腕時計を更に小さく、薄く
腕時計を、さらに小さく薄く、多機能にするためには、アンテナの小型化と省電力化が必要不可欠。下の写真は、シチズンが初めて電波時計を製品化した1993年から15年間のアンテナです。2008年には、アンテナの小型化により1円玉よりも小さいムーブメント Caliber H010を開発。
更に小さく、薄く、シチズンの電波時計の進化は続きます。
次回はシチズンの電波時計の新たなる挑戦、「サテライトウエーブ」についてお話しします。
今回も時計豆知識にお付き合いいただきありがとうございました。